近頃、健康を扱うテレビや雑誌などで、「メタボリックシンドローム」という言葉を頻繁に耳にします。また、メタボリックシンドロームのことを、太ったひとに関係のある言葉として漠然と知っているひとも多いかと思います。メタボリックシンドロームとは、生活習慣病と呼ばれる病気が複数重なった状態のことをいいます。
生活習慣病とは、肥満症・高血圧症・高血糖症などのことです。生活習慣病は、不規則な乱れた生活習慣を続けることにより発生する病気のことで、コンビニが生活に密着したことや、移動手段の多様化などにより、特に生活が便利になった昨今、問題視されはじめています。
それらの肥満症・高血圧症・高血糖症などの病気は、単体で持っていても危険な病気には変わりありませんが、それらの病気が複数組み合わされることによって、さらに危険な病気に発展する可能性の高いことが最近の研究によって明らかにされてきました。
肥満症・高血圧症・高血糖症などの生活習慣病を、単体で持っている場合と比べて、それらの組み合わせが2つ以上となるときに、心臓病のリスクが跳ね上がることが解っています。そして、症状が進めばかなり危険な状態である動脈硬化を引き起こす可能性さえ高まってしまうのです。
このように、内臓脂肪型の肥満を基本とした、生活習慣病についての健康リスクが知られるようになった今、メタボリックシンドロームは、運動不足や食生活の偏りが多くみられる中高年の、特に男性にとっては、見過ごすことのできない存在となってきています。
メタボリックシンドロームは、原因となるものがいくつか存在します。肥満症・高血圧症・高血糖症の複合が、メタボリックシンドロームと呼ばれる状態です。それらの病名から解る通り、メタボリックシンドロームは、生活の基礎である食の関わりと切っても切れない関係にあるといえます。
近年、食の欧米化により、昔の日本食を食べていた時代と比較すると食事の質は高カロリー化の一途をたどっています。さらにコンビニなどのいつでも食事を摂取できる環境の整備により、わたしたちの食を取り巻く環境は激変したといっても過言ではありません。
そうした欧米型の、動物性脂肪・糖類の過剰摂取、加えて従来型の日本食で補われてきた植物繊維など日本人にとって欠かせない要素の摂取が減少していることもあり、肥満症・高血圧症・高血糖症などの生活習慣病を引き起こす原因となっています。
欧米型の高カロリーな食事を続けることで、蓄積した内臓脂肪により、肥満症となった場合に、動脈硬化を修復する化学物質が減少するといった研究結果が存在します。加えて糖分を過剰摂取していたとなれば、健康リスクの高まりはもはや見過ごすことのできないレベルまで高まっていることになります。
また、食事だけでなく、アルコールの多量の摂取についても、内臓脂肪を増加させる要因のひとつとなります。これらの、高カロリーの食事・アルコール・菓子等の糖分を多量に摂取することに加えて、運動不足を感じるひとは、メタボリックシンドロームの疑いを自分にかけてみる必要があります。
前項でも説明した通り、メタボリックシンドローム(またはメタボ症候群)とは、生活習慣病である肥満症・高血圧症・高血糖症が複数併発することによる心臓病や、様々な病気に発展するリスクの高い動脈硬化を発症させる可能性の高い状態を指す言葉です。生活習慣病とは、乱れた生活習慣により発生する病気のことで、さまざまな要因によって引き起こされることが解っています。
生活習慣病に発展する恐れのある生活習慣といえば、まず食生活の乱れを想像するひとも多いかと思います。生活習慣病は、食生活に乱れの他にも、運動不足や多量の飲酒、さらに喫煙などによっても引き起こされる可能性を持っています。
食生活の乱れによって発展する生活習慣病としては、肥満症、高脂血症、糖尿病などが考えられます。運動不測により発展する生活習慣病としては、同じく肥満症、高脂血症、糖尿病があります。多量の飲酒により引き起こされる生活習慣病としては、アルコール性肝疾患があります。そして喫煙によっては、肺気腫、歯周病、循環器の病気が考えられます。
そうした各種生活習慣に密着した病気は、複数を併発することが珍しくありません。食生活が乱れているということは、運動習慣など、その他の生活も乱れている可能性が高いためです。そうして、生活習慣病を複数併発した条件下では、心臓病や動脈硬化へと発展する健康リスクが高いことが判明し、各種医療系の連盟が、世界的に警告を行ったことが、最近のメタボリックシンドロームが注目を集めている理由です。
メタボリックシンドロームとは、各種の生活習慣病を複数併発した状態であることを指す言葉であることを前項で説明しましたが、では具体的にどのような状態であることをメタボリックシンドロームであるというのか、そうした診断の基準も、はっきりと存在しています。
日本でのメタボリックシンドロームの診断基準は、世界的なメタボリックシンドロームの危険性を指摘する流れを受けて、2005年4月に公表されています。診断基準は、日本肥満学会や日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会、日本循環器学会、日本腎臓病学会、日本血栓止血学会、日本内科学会が携わり、公表されています。
そしてメタボリックシンドロームの基準として、腹囲(ウェストの周囲)が男性で85cm以上、女性で90cm以上であること、男女ともに最高血圧が130mmHg以上、最低血圧が85mmHg以上であること、中性脂肪が男女ともにトリグリセリド値150mg/dl以上、HDLコレステロールが40mg/dl未満であること、空腹時の血糖値が男女ともに110mg/dl以上であることが設定されています。
胸囲が男性で65cm以上、女性で90cm以上のひとが、その他の項目に該当した場合に、そのひとをメタボリックシンドロームであると診断することになっています。これらはなるべく正確な値を算出するため、病院でCTスキャンなどを使用し、内臓脂肪の量を測定することが望まれます。
肥満症・高血圧症・高血糖症などの生活習慣病は、それぞれひとつずつでは、治療にそれほどの負担はないかもしれません。しかし、それらの生活習慣病が複数発症した場合にメタボリックシンドロームとなり、さらに危険な病気へと発展してしまうのが、メタボリックシンドロームの恐ろしいところです。
内臓に脂肪がたまることにより、さらなる生活習慣病を併発し、その先には危険な病気を呼び寄せてしまう可能性が高まります。例えば、コレステロールの多い食事を摂りつづけたことにより肥満となった場合には、脂肪や筋の組織が能力を低下させ、糖を取り込みを阻害するような結果となります。
糖の取り込みが阻害されると、糖を代謝するのに必要になるインスリンの働きが悪くなり、血糖値が高くなります。そして肥満により、筋肉・肝臓のグリコーゲン合成酵素の生成能力が低下すると、体内の循環がますます悪くなっていきます。そうしてインスリンが機能不全に陥ると、肥満症・高血圧症・高血糖症へと病気が進行してしまうのです。
また、肥満症・高血圧症・高血糖症を発症すれば、最悪の場合、恐ろしい動脈硬化へと発展するリスクも考えなければなりません。動脈硬化とは、摂取しすぎた脂質が血管内にびっしりと詰まることにより、血流の流れを阻害する病気のことを言います。
そして動脈硬化は、さらに心筋梗塞や、脳卒中へと繋がるやっかいな病気であるといえます。動脈硬化は、脂質の摂りすぎの他にも、過剰なストレスや運動不足、喫煙や過剰なアルコール摂取によっても症状を加速させます。
平成16年度の国民健康・栄養調査によれば、メタボリックシンドロームが強く疑われるひとと、予備軍と考えられるひとを合わせた割合は、男性・女性ともに40歳以上で多くなっており、40歳〜74歳でみると、男性2人に1人、そして女性は5人に1人という結果が出ています。
こうして見ると、メタボリックシンドロームにかかる割合は、女性に比べ、男性が圧倒的に多いことがわかります。ただし、これは男性に比べて女性はメタボリックシンドロームにかかりづらいという結果にはなりません。男性と女性とでは、脂肪のつきかたが違うことから、そうした結果になっているとも考えられるのです。
男性・女性とも20を過ぎると基礎代謝が落ちていきます。基礎代謝が落ちると、それだけエネルギーの消費量が減るため、それまでと同じような高カロリーな食事は必要としなくなります。ですが、実際には、生活習慣に根づいた高カロリーな食事を抑えられるひとはなかなかいません。
そうして代謝が落ちた体に脂肪を蓄積することになるわけですが、脂肪のつきかたによって、見た目の印象が変わって見えます。内臓脂肪型肥満であれば、りんご型と言われるように、全体が大きくぷっくりと膨らむところを、皮下脂肪型肥満というのは、下腹部やふともも、おしりなどを中心に、ぽこんと膨らむような様子です。そうした姿から、皮下脂肪型肥満は洋梨型とも言われます。
全体がいかにも肥満を連想させる内臓脂肪型肥満よりも、皮下脂肪型肥満は、それほど太っているという実感がわきづらいことから、メタボリックシンドロームの診断を受けに行くひとが減っていることも考えられます。しかし、皮下脂肪型肥満であっても、年を重ねるごとに、それが突然内臓脂肪型肥満となって、全体に表れることもあるのです。
女性についても、見た目にだけ惑わされることなく、病院などのCT装置で脂肪の量を測定することが望ましいメタボリックシンドローム把握の仕方であるといえます。
メタボリックシンドロームは男性・女性ともに40歳からの割合が多くなっているという説明を、前の項目でしました。メタボリックシンドロームは、食生活や運動などの生活習慣がおかしくなることで発生する症状であるため、これまで子供についてはあまり関係があるとは思われてきませんでした。
子供であれば、多少の高カロリーな食事を摂取していたとしても、遊びの中で運動をすることで運動の不足に陥ることはなく、代謝も良いことから、生活習慣病にかかるリスクは低いと考えられてきたためです。しかし最近の子供の生活習慣も、昔とは大きく違ってきています。
ファーストフード店やコンビニがいたる所に存在し、買い食いの習慣づいた子供も多くなっています。毎日の食事についても、欧米型の高カロリーな食事を小さなときから摂りつづけることも、もはや一般的なことです。さらにテレビゲームやインターネットの広がりや、都会での子供たちが遊ぶ場所が減ってきていることもあり運動不足の懸念も出てきました。
そして、メタボリックシンドロームは生活習慣病と綿密な関わりがあることからもわかる通り、大人になってから突然発症するというのではなく、子供のうちの生活習慣が重要であるということが解ってきました。そうした説を裏付ける通り、肥満児の6割が、そのまま肥満成人となるという調査結果が厚生労働省より出ています。
そうした流れの中で、厚生労働省は子供のメタボリックシンドロームのための基準を発表しました。基準は、腰周りが80cm以上、血圧が125〜70mmHg以上、血糖値が100mg/dl以上、高脂血症が中性脂肪・120mg/dl以上、HDLコレステロール値が40mg/dl未満、と設定されており、2項目以上当てはまると、メタボリックシンドロームに該当します。
